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動物病院が犬の虫歯を無視する理由

一般的な動物病院では、犬の虫歯を無視している様に見受けられます。

実際には、無視しているのではなく、軽視しているのだと思われますが、 その理由として考えられるのは以下の4つの項目になります。

  1. 全身麻酔のリスクを考えると割りに合わない
  2. 技術や設備がなく治療が出来ない
  3. 治療時間・設備投資などコストがかかる
  4. 犬の虫歯自体を軽視している

上記の4つの項目が、「動物病院が犬の虫歯を無視する理由」の大部分を占めています。現在の日本にある動物病院の中で、本格的に歯科治療を行なえる動物病院は、皆無と申し上げても過言ではありません。

ここで申し上げる本格的な歯科治療とは、スケーリング(歯石除去)・抜歯以外のCR、抜髄などの修復処置などの、人間が歯科医院に行った際に歯科医師が私たちに行なう歯科治療のことです。それでは、上記に挙げた4つの「動物病院が犬の虫歯を無視する理由」を順番にご説明いたします。

①犬の虫歯治療を行なうには、基本的に全身麻酔が必要となるため、全身麻酔をする事のリスクを考えると割りに合わない。

はじめに虫歯治療のリスクとはどの様なリスクかをご説明いたします。まず、犬に人間と同じ内容の歯科治療(本格的な歯科治療)を行なうためには、当然のことながら全身麻酔が必要となります。

全身麻酔には、軽く短時間鎮静させるものから、本格的外科手術を行なうためのものまで何種類かの方法がありますが、いずれの場合でも犬の全身状態が万全であることにこしたことはありません。その全身状態を知るためには様々な検査を実施する必要があります。

早く言えば、治療を開始する前にかなり手間のかかる作業を行なわなくてはならないという事です。獣医師がこの手間のかかる作業を嫌うのは当然です。ですから、この内容の中にあるリスクというのは「治療を開始する前に行う様々な検査」の事を差しています。

②本格的な犬の歯科治療をする技術や設備がなく治療が出来ない。

本格的な歯科治療には本格的な歯科用設備が必要となってきます。

動物病院には人間の歯科医院と同じ設備や機材は当然の事ながらありません。虫歯を治療するための設備を、動物病院に作るとしたら、2倍以上の敷地面積と3倍以上の設備資金が必要になりますし、例えそれが可能だとしても、動物病院の先生の専門はあくまでも獣医学ですから、歯科治療専門の設備を使う事は出来ません。

そして獣医師には、もちろんの事ながら人間の歯科医師が習得した知識や技術はありません。例えば、カリエス(虫歯)の発見から抜髄→根管充塡→コア形成・セット→クラウン・ブリッジと言った一連の歯科治療は一般の動物病院では出来ません。治療する事が出来ない虫歯を発見してそれを飼い主に伝えた所で、設備や技術がない事を晒して信用を落としてしまうだけになります。

③犬の歯科治療を行うための設備をそろえるコストや、治療時間などのコストを考えると割りが合わない。

①と②でお伝えした様に、犬の虫歯を治療するには、莫大な費用を掛けて設備をそろえなくては治療が出来ない上に、治療を開始する前に行う検査等により、通常の動物病院で行う一般診療に比べると何倍もの時間を必要とします。

通常の動物病院が歯科治療を敬遠している理由の中で最も大きな要因は、「歯科治療にかかる施術時間を、歯科治療以外の一般診療に来た犬の治療に充てた方が、動物病院としては明らかに利益が上がる」つまり・・・設備投資にかかる莫大なコストだけでなく、治療に費やす時間的なコストも計算し、採算の合わない治療を敬遠しているという、2つのコスト的な要因が一番大きな要因だと言えます。

④犬の虫歯自体を軽視している。

これは、軽視しているというよりも軽視せざるを得ないと言う方が適切かもしれません。動物病院で働いた事がある方はお分かりかもしれませんが、獣医師や看護師や助手が一番気を付けている事があります。

それは「犬に噛まれない事」です。笑われてしまうかもしれませんが、動物病院で働いた事があり、犬に噛まれた事がないという人は恐らくいないと思います。

毎回の様に犬に噛まれていては仕事になりませんので、何よりも気を付けなくてはなりません。犬はとても警戒心が強い生き物なので、初めて会う人間に簡単に体を触られるのを嫌がります。ましてや、口の中を見られたり触られる事は犬が最も嫌がる事です。

虫歯の治療を主訴として来た訳ではない犬の口の中を、わざわざ診ようとする獣医師はいないのはお分かりになるかと思います。

まとめ

順番にご説明させていただきましたが、一般の動物病院で獣医師が犬の虫歯を無視する理由は、『本格的な歯科治療を行う事が困難なために、例え虫歯を発見したとしても無視せざるを得ない』というのが悲しい現実なのかも知れません。

犬の歯の場合は人間と違い、放っておいても疼痛といった症状は出にくいので、飼い主の方が気付いた時には既に抜歯しなくてはならない所まで、進んでしまっています。

犬の場合は人間と違って咀嚼しませんから、抜歯してもQOL(その後の生活の質)にはさほど影響はありませんが、生活に支障がなくても、歯が身体の健康を維持するために重要な役割を果たしているというのは、人間だけではなく犬にとっても同じです。

歯が健康な犬の寿命と、そうでない犬の寿命は確実に違います。少しでも多くの飼い主様がこれを読み、ご自分の愛犬の口腔内の状態に関心を持っていただければと思っております。

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